2023/05/21 20:09


 毎年ゴールデンウィークに行っている宝山窯の窯焚きも、今年で10年目となりました。昨年に引き続き、何だかんだで作業が遅れ、火入れまでが地獄の日々でしたが、助っ人陣の活躍のおかげで、4月30日(日)に火が入り、5月7日(日)までの8日間の日程で窯焚きを行うことができました。


 今年のチャレンジは、窯詰めから。10回目ともなると少々慣れてきてしまうので、”新しい風を”と思い、一番正面の場所を、窯詰めを一緒に頑張ってくれた、ルーキーと陶芸センターの研修生の方に託してみました。


 自分の作品を持って来てもらい、思うように詰めてもらった結果、転がし(作品を横向きに転がすこと)はもちろんのこと、引き出し(焼成中に窯の中から作品を取り出すこと)用の作品を並べる「謎の祭壇」と、必要以上にカップが並ぶ「謎の棚」が出来上がりました。これが結果的に面白い焼き色を生み出したということで、次回は発展的にやろうと盛り上がっています。


 窯焚きメンバーも多彩でした。まずは主要メンバーの4人。イナイさん、シノザキさん、サトウさん、マンタニさん。みなさん経験者だけあって、窯焚きについての考え方もいろいろ。話をしながら、目の前の窯で実践してみる。この交流も面白く、学びにもなりました。


 この4名の作品は、「窯焚きの仲間たち展」ということで、工房を展示場に見立てたスペースで展示販売を行いました。ご来場いただいた皆さまにも好評で、このうちの何点かは、お客さまの元へ旅立ったようです。


 こちらは横焚きから参加のイイジマさん。今年から備前へやって来られたという方ですが、窯焚きは経験されたことがあるということで安定の窯焚きでした。先ほど紹介した主要メンバーのある1名が、夜シフトでまさかの寝坊をしてしまい、空いてしまった穴を見事に埋めてもくれました。お寝坊さんはお説教ですね~。


 そして、「研修枠」の4名。今年は備前陶芸センターに4月から通う研修生(1名は1か月研修)の4名を受け入れました。窯焚きは年に数回しか行う機会がないので非常に貴重な経験の場となります。多くの経験を積んで、即戦力として育ってもらえれば嬉しいな~、なんて思いで、いろいろとお話もさせていただきました。


 なぜか恒例になっている「海外枠」は、オーストリアから備前にやって来られたアナトルさん。横焚きでは、相方との掛け声である「アケマス(開けます)」「イレマス(入れます)」「シメマス(閉めます)」の日本語を覚えたとか。窯焚きを通しての国際交流。今年もいい感じでした。


 今年の窯焚きは、結果的に10人が関わるという大所帯でした。窯焚きは1週間から10日間ほど火を絶やすことなく行うため、多くのサポートが必要になります。今年も多くの協力のおかげで、順調に窯焚きを進めることができました。


 また、今年も備前市が主催する「備前焼フェア ~春のやきもの市~」と会期が重なることもあり、さまざまな企画も用意しました。


 5月3日(水)・4日(木)の2日間は、Sprout Coffeeさんのキッチンカーが宝山窯にやって来ました。備前焼の甕から提供してくれる「甕出しアイスコーヒー」は人気で、備前焼の大甕をテーブルに見立てた設えも多くの方に喜んでいただけました。


 工房に設けた「フリーろくろ」と「カケラお絵かき」にも挑戦してくれる方が多くいました。今年は完全なフリースタイルでしたが、来年あたりはスタッフを配置して、さらにお客さまに満足していただけるコーナーにできればと思っています。


 話変わって、今年は差し入れにも勢いがありました。まず、弟から届いたのが、ハッピーターン1.8kg。軍手をしたままでも食べることができ、塩分補給もできる、何より、「ハッピーターン」というネーミングが、窯焚きにとって縁起がいいじゃないか、と話したところ、箱で届きました...。窯場も盛り上がったので、お手伝いの2名と記念写真です。


 こちらはイモ。陶芸体験の時に焼きイモの話をして盛り上がったお客さまが、イモを持って来てくれたので、一緒にクッキング。窯の余熱を使っていい具合に仕上がりました。「窯焚きイモ」ここにあり、です。


 お客さまのリクエストにお応えして、ムーディーな窯焚きも。以前、陶芸体験に来てくれた女性グループが、昼だけでなく、夜にも来てくださって、いろいろな話で盛り上がったので…。照明を消して、いい感じの音楽を。これはありなのか、なしなのか…。


 さらには、中国に向けて窯焚きのライブ配信も実施。少し遅い時間帯にもかかわらず、約6000名の方が視聴してくださったとのことです。近年、中国では備前焼が人気とのことで、今後は多くの方に備前へお越しいただければ嬉しいな~と思っています。


 公開窯焚きを初めて10年。今年の期間中の来場者は300名を超え、コロナ前と変わらない数字となりました。もはやコロナ禍ではない。いろいろと仕掛けすぎた(受け入れすぎた)感はありますが、今回の経験を踏まえ、次回の公開窯焚きでは、さらにパワーアップして皆さまをお迎えできればと思います!



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