2021/06/16 01:28

   2021年の窯出しは、5月22日(土)午前10 時よりスタート。基本は焚いた日数分だけ冷ませば作品を取り出せるのですが、オンラインでの作品紹介の準備があり、窯出しもイベントとして公開しようという計画もありましたので、ゆとりを持ったスケジュールで実施しました。


 窯出しの様子は、窯焚きの時にもお世話になったモノゴト」の萩原雅之さんが企画・運営をしてくださりオンラインで公開。事前にエントリーいただいた参加者の皆さまとzoomで対話しながら、その様子をYouTubeでライブ配信しました。

【オンライン初公開】出来立てホヤホヤの備前焼を窯から取り出す「窯出し」の様子をフルで公開 | 宝山窯



 イベントの様子は、5月26日(水)の「山陽新聞 東備版」にて紹介していただきました。「備前焼界でやったことのないこと」と「コロナ禍だからできること」に「若い学生の力」が加わって、これで終わらない持続可能な手応えも得ることができました。何事も挑戦です!


 今回の窯には、宝山窯の工房で実施している「陶芸体験」や、閑谷学校の研修プログラムに組み込まれている「備前焼研修」の作品も。どちらも、熱い要望があり、今年から実施するようになった新展開になります。“もの”で溢れた現代において、備前焼で勝負するには、“こと”で感じていただくことも重要。この「陶芸体験」や「研修」についてのお話は、またの機会にできればと思います。


 ここからは、いよいよ作品の紹介です。窯焚き時の解説とともに、各部屋ごとの作品をご覧いただければと思います。まずは、正面のドーム状の部屋(ウド)から。窯焚きで使用する約1200束の薪のうち、約3分の2をこの部屋で消費していきます。しっかりと焚き込まれたうつわは、深い焼き色となり、灰のかかった部分には「胡麻(ごま)」という変化が現れます。




 一部屋を焼き上げる最後には、窯の側面にある窓から作品の周りに木炭を振りかけます。この「炭くべ」と呼ばれる作業により影響を受けた作品は、青色や灰色っぽい変化が表面に現れた「桟切(さんぎり)」や、キラキラと輝く「金彩(きんさい)」という焼き色となります。



 正面の部屋を焼き終えると後ろの部屋の焼成へと移ります。「一番」「二番(写真で焼成中)」と呼ばれる部屋は、比較的安定した焼成が可能となるので、食器類や陶芸体験の作品を多く入れました。「炭くべ」による「桟切(さんぎり)」が定番となりますが、焚口の真下など燃料の松割木の灰や炭が積もるような場所では、多彩な窯変の作品も出てきます。



 最後の部屋(ケド)は、明るい焼き色を目指し、焚き口にフタをすることなく薪を継ぎ足していく方法(酸化焼成)で焚き上げていきました。全体的に赤くなった印象ですが、初挑戦の今回はデータを取ることが目的だったので、収穫も多くありました。次回はこの色を狙いませんので、宝山窯では貴重な焼き色になるかもしれません。また、焚口の真下にある作品も「一番」や「二番」と焼成方法が異なることから、全体的に明るく仕上がっています。


オンライン窯出し作品展2021」では、全100点の新作を公開しておりますので、是非、ご覧ください!おまけの「ひん曲がりのうつわ展」も開催中!窯の炎によりひん曲がった作品を紹介しております。特別プライス&数量限定ですので、「これは!」という逸品を見つけた際にはお早めに。


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